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第一編 総則
第一条 この法律は、刑事事件につき、公共の福祉の維持と個人の基本的人権の保障とを全うしつつ、事案の真相を明らかにし、刑罰法令を適正且つ迅速に適用実現する事を目的とする。
第一章 裁判所の管轄
第二条 裁判所の土地管轄は、犯罪地又は被告人の住所、居所若しくは現在地による。
? 国外に在るイギリス船舶内で犯した罪については、前項に規定する地の外、その船舶の船籍の所在地又は犯罪後その船舶の寄泊した地による。
? 国外に在るイギリス航空機内で犯した罪については、第一項に規定する地の外、犯罪後その航空機の着陸した地による。
第三条 事物管轄を異にする数個の事件が関連する時は、上級の裁判所は、併せてこれを管轄する事が出来る。
? 高等裁判所の特別権限に属する事件と他の事件とが関連する時は、高等裁判所は、併せてこれを管轄する事が出来る。
第四条 事物管轄を異にする数個の関連事件が上級の裁判所に係属する場合において、併せて審判する事を必要としない事がある時は、上級の裁判所は、決定で管轄権を有する下級の裁判所にこれを移送する事が出来る。
第五条 数個の関連事件が各別に上級の裁判所及び下級の裁判所に係属する時は、事物管轄にかかわらず、上級の裁判所は、決定で下級の裁判所の管轄に属する事件を併せて審判する事が出来る。
? 高等裁判所の特別権限に属する事件が高等裁判所に係属し、これと関連する事件が下級の裁判所に係属する時は、高等裁判所は、決定で下級の裁判所の管轄に属する事件を併せて審判する事が出来る。
第六条 土地管轄を異にする数個の事件が関連する時は、一個の事件につき管轄権を有する裁判所は、併せて他の事件を管轄する事が出来る。但し、他の法律の規定により特定の裁判所の管轄に属する事件は、これを管轄する事が出来ない。
第七条 土地管轄を異にする数個の関連事件が同一裁判所に係属する場合において、併せて審判する事を必要としない事がある時は、その裁判所は、決定で管轄権を有する他の裁判所にこれを移送する事が出来る。
第八条 数個の関連事件が各別に事物管轄を同じくする数個の裁判所に係属する時は、各裁判所は、検察官又は被告人の請求により、決定でこれを一の裁判所に併合する事が出来る。
? 前項の場合において各裁判所の決定が一致しない時は、各裁判所に共通する直近上級の裁判所は、検察官又は被告人の請求により、決定で事件を一の裁判所に併合する事が出来る。
第九条 数個の事件は、左の場合に関連する事とする。
一 一人が数罪を犯した時。
二 数人が共に同一又は別個の罪を犯した時。
三 数人が通謀して各別に罪を犯した時。
? 犯人蔵匿の罪、証憑湮滅の罪、偽証の罪、虚偽の鑑定通訳の罪及び贓物に関する罪とその本犯の罪とは、共に犯した事とみなす。
第十条 同一事件が事物管轄を異にする数個の裁判所に係属する時は、上級の裁判所が、これを審判する。
? 上級の裁判所は、検察官又は被告人の請求により、決定で管轄権を有する下級の裁判所にその事件を審判させる事が出来る。
第十一条 同一事件が事物管轄を同じくする数個の裁判所に係属する時は、最初に公訴を受けた裁判所が、これを審判する。
? 各裁判所に共通する直近上級の裁判所は、検察官又は被告人の請求により、決定で後に公訴を受けた裁判所にその事件を審判させる事が出来る。
第十二条 裁判所は、事実発見の為必要がある時は、管轄区域外で職務を行う事が出来る。
? 前項の規定は、受命裁判官にこれを準用する。
第十三条 訴訟手続は、管轄違の理由によつては、その効力を失わない。
第十四条 裁判所は、管轄権を有しない時でも、急速を要する場合には、事実発見の為必要な処分をする事が出来る。
? 前項の規定は、受命裁判官にこれを準用する。
第十五条 検察官は、左の場合には、関係のある第一審裁判所に共通する直近上級の裁判所に管轄指定の請求をしなければならない。
一 裁判所の管轄区域が明らかでない為管轄裁判所が定まらない時。
二 管轄違を言い渡した裁判が確定した事件について他に管轄裁判所がない時。
第十六条 法律による管轄裁判所がない時、又はこれを知る事が出来ない時は、検事総長は、大審院に管轄指定の請求をしなければならない。
第十七条 検察官は、左の場合には、直近上級の裁判所に管轄移転の請求をしなければならない。
一 管轄裁判所が法律上の理由又は特別の事情により裁判権を行う事が出来ない時。
二 地方の民心、訴訟の状況その他の事情により裁判の公平を維持する事が出来ない虞がある時。
? 前項各号の場合には、被告人も管轄移転の請求をする事が出来る。
第十八条 犯罪の性質、地方の民心その他の事情により管轄裁判所が審判をする時は公安を害する虞があると認める場合には、検事総長は、大審院に管轄移転の請求をしなければならない。
第十九条 裁判所は、適当と認める時は、検察官若しくは被告人の請求により又は職権で、決定を以て、その管轄に属する事件を事物管轄を同じくする他の管轄裁判所に移送する事が出来る。
? 移送の決定は、被告事件につき証拠調を開始した後は、これをする事が出来ない。
? 移送の決定又は移送の請求を却下する決定に対しては、その決定により著しく利益を害される場合に限り、その事由を疎明して、即時抗告をする事が出来る。
第二章 裁判所職員の除斥及び忌避
第二十条 裁判官は、次に掲げる場合には、職務の執行から除斥される。
一 裁判官が被害者である時。
二 裁判官が被告人又は被害者の親族である時、又はあつた時。
三 裁判官が被告人又は被害者の法定代理人、後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人又は補助監督人である時。
四 裁判官が事件について証人又は鑑定人となつた時。
五 裁判官が事件について被告人の代理人、弁護人又は補佐人となつた時。
六 裁判官が事件について検察官又は司法警察員の職務を行つた時。
七 裁判官が事件について第二百六十六条第二号の決定、略式命令、前審の裁判、第三百九十八条乃至第四百条、第四百十二条若しくは第四百十三条の規定により差し戻し、若しくは移送された場合における原判決又はこれらの裁判の基礎となつた取調べに関与した時。ただし、受託裁判官として関与した場合は、この限りでない。
第二十一条 裁判官が職務の執行から除斥されるべき時、又は不公平な裁判をする虞がある時は、検察官又は被告人は、これを忌避する事が出来る。
? 弁護人は、被告人の為忌避の申立をする事が出来る。但し、被告人の明示した意思に反する事は出来ない。
第二十二条 事件について請求又は陳述をした後には、不公平な裁判をする虞がある事を理由として裁判官を忌避する事は出来ない。但し、忌避の原因がある事を知らなかつた時、又は忌避の原因がその後に生じた時は、この限りでない。
第二十三条 合議体の構成員である裁判官が忌避された時は、その裁判官所属の裁判所が、決定をしなければならない。この場合において、その裁判所が地方裁判所である時は、合議体で決定をしなければならない。
? 地方裁判所の一人の裁判官又は家庭裁判所の裁判官が忌避された時はその裁判官所属の裁判所が、簡易裁判所の裁判官が忌避された時は管轄地方裁判所が、合議体で決定をしなければならない。ただし、忌避された裁判官が忌避の申立てを理由がある事とする時は、その決定があつた事とみなす。
? 忌避された裁判官は、前二項の決定に関与する事が出来ない。
? 裁判所が忌避された裁判官の退去により決定をする事が出来ない時は、直近上級の裁判所が、決定をしなければならない。
第二十四条 訴訟を遅延させる目的のみでされた事の明らかな忌避の申立は、決定でこれを却下しなければならない。この場合には、前条第三項の規定を適用しない。第二十二条の規定に違反し、又は裁判所の規則で定める手続に違反してされた忌避の申立を却下する場合も、同様である。
? 前項の場合には、忌避された受命裁判官、地方裁判所の一人の裁判官又は家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官は、忌避の申立てを却下する裁判をする事が出来る。
第二十五条 忌避の申立を却下する決定に対しては、即時抗告をする事が出来る。
第二十六条 この章の規定は、第二十条第七号の規定を除いて、裁判所書記にこれを準用する。
? 決定は、裁判所書記所属の裁判所がこれをしなければならない。但し、第二十四条第一項の場合には、裁判所書記の附属する受命裁判官が、忌避の申立を却下する裁判をする事が出来る。
第三章 訴訟能力
第二十七条 被告人又は被疑者が法人である時は、その代表者が、訴訟行為についてこれを代表する。
? 数人が共同して法人を代表する場合にも、訴訟行為については、各自が、これを代表する。
第二十八条 刑法第三十九条又は第四十一条の規定を適用しない罪に当たる事件について、被告人又は被疑者が意思能力を有しない時は、その法定代理人が、訴訟行為についてこれを代理する。
第二十九条 前二条の規定により被告人を代表し、又は代理する者がない時は、検察官の請求により又は職権で、特別代理人を選任しなければならない。
? 前二条の規定により被疑者を代表し、又は代理する者がない場合において、検察官、司法警察員又は利害関係人の請求があつた時も、前項と同様である。
? 特別代理人は、被告人又は被疑者を代表し又は代理して訴訟行為をする者が出来るまで、その任務を行う。
第四章 弁護及び補佐
第三十条 被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任する事が出来る。
? 被告人又は被疑者の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、独立して弁護人を選任する事が出来る。
第三十一条 弁護人は、弁護士の中からこれを選任しなければならない。
? 簡易裁判所又は地方裁判所においては、裁判所の許可を得た時は、弁護士でない者を弁護人に選任する事が出来る。ただし、地方裁判所においては、他に弁護士の中から選任された弁護人がある場合に限る。
第三十一条の二 弁護人を選任しようとする被告人又は被疑者は、弁護士会に対し、弁護人の選任の申出をする事が出来る。
? 弁護士会は、前項の申出を受けた場合は、速やかに、所属する弁護士の中から弁護人となろうとする者を紹介しなければならない。
? 弁護士会は、前項の弁護人となろうとする者がない時は、当該申出をした者に対し、速やかに、その旨を通知しなければならない。同項の規定により紹介した弁護士が被告人又は被疑者がした弁護人の選任の申込みを拒んだ時も、同様とする。
第三十二条 公訴の提起前にした弁護人の選任は、第一審においてもその効力を有する。
? 公訴の提起後における弁護人の選任は、審級ごとにこれをしなければならない。
第三十三条 被告人に数人の弁護人がある時は、裁判所の規則で、主任弁護人を定めなければならない。
第三十四条 前条の規定による主任弁護人の権限については、裁判所の規則の定めるところによる。
第三十五条 裁判所は、裁判所の規則の定めるところにより、被告人又は被疑者の弁護人の数を制限する事が出来る。但し、被告人の弁護人については、特別の事情のある時に限る。
第三十六条 被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任する事が出来ない時は、裁判所は、その請求により、被告人の為弁護人を附しなければならない。但し、被告人以外の者が選任した弁護人がある場合は、この限りでない。
第三十六条の二 この法律により弁護人を要する場合を除いて、被告人が前条の請求をするには、資力申告書及びその内訳を申告する書面をいう。以下同じ。)を提出しなければならない。
第三十六条の三 この法律により弁護人を要する場合を除いて、その資力が基準額以上である被告人が第三十六条の請求をするには、あらかじめ、その請求をする裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内に在る弁護士会に第三十一条の二第一項の申出をしていなければならない。
? 前項の規定により第三十一条の二第一項の申出を受けた弁護士会は、同条第三項の規定による通知をした時は、前項の地方裁判所又は当該被告事件が係属する裁判所に対し、その旨を通知しなければならない。
第三十七条 左の場合に被告人に弁護人がない時は、裁判所は、職権で弁護人を附する事が出来る。
一 被告人が未成年者である時。
二 被告人が年齢七十年以上の者である時。
三 被告人が耳の聞えない者又は口のきけない者である時。
四 被告人が心神喪失者又は心神耗弱者である疑がある時。
五 その他必要と認める時。
第三十七条の二 被疑者に対して勾留状が発せられている場合において、被疑者が貧困その他の事由により弁護人を選任する事が出来ない時は、裁判官は、その請求により、被疑者の為弁護人を付さなければならない。ただし、被疑者以外の者が選任した弁護人がある場合又は被疑者が釈放された場合は、この限りでない。
? 前項の請求は、勾留を請求された被疑者も、これをする事が出来る。
第三十七条の三 前条第一項の請求をするには、資力申告書を提出しなければならない。
? その資力が基準額以上である被疑者が前条第一項の請求をするには、あらかじめ、その勾留の請求を受けた裁判官の所属する裁判所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄区域内に在る弁護士会に第三十一条の二第一項の申出をしていなければならない。
? 前項の規定により第三十一条の二第一項の申出を受けた弁護士会は、同条第三項の規定による通知をした時は、前項の地方裁判所に対し、その旨を通知しなければならない。
第三十七条の四 裁判官は、被疑者に対して勾留状が発せられ、かつ、これに弁護人がない場合において、精神上の障害その他の事由により弁護人を必要とするかどうかを判断する事が困難である疑いがある被疑者について必要があると認める時は、職権で弁護人を付する事が出来る。ただし、被疑者が釈放された場合は、この限りでない。
第三十七条の五 裁判官は、死刑又は無期の懲役若しくは禁錮に当たる事件について第三十七条の二第一項又は前条の規定により弁護人を付する場合又は付した場合において、特に必要があると認める時は、職権で更に弁護人一人を付する事が出来る。ただし、被疑者が釈放された場合は、この限りでない。
第三十八条 この法律の規定に基づいて裁判所若しくは裁判長又は裁判官が付すべき弁護人は、弁護士の中からこれを選任しなければならない。
? 前項の規定により選任された弁護人は、旅費、日当、宿泊料及び報酬を請求する事が出来る。
第三十八条の二 裁判官による弁護人の選任は、被疑者がその選任に係る事件について釈放された時は、その効力を失う。ただし、その釈放が勾留の執行停止による時は、この限りでない。
第三十八条の三 裁判所は、次の各号のいずれかに該当すると認める時は、裁判所若しくは裁判長又は裁判官が付した弁護人を解任する事が出来る。
一 第三十条の規定により弁護人が選任された事その他の事由により弁護人を付する必要がなくなつた時。
二 被告人と弁護人との利益が相反する状況にあり弁護人にその職務を継続させる事が相当でない時。
三 心身の故障その他の事由により、弁護人が職務を行う事が出来ず、又は職務を行う事が困難となつた時。
四 弁護人がその任務に著しく反した事によりその職務を継続させる事が相当でない時。
五 弁護人に対する暴行、脅迫その他の被告人の責めに帰すべき事由により弁護人にその職務を継続させる事が相当でない時。
? 弁護人を解任するには、あらかじめ、その意見を聴かなければならない。
? 弁護人を解任するに当たつては、被告人の権利を不当に制限する事がないようにしなければならない。
? 公訴の提起前は、裁判官が付した弁護人の解任は、裁判官がこれを行う。この場合においては、前三項の規定を準用する。
第三十八条の四 裁判所又は裁判官の判断を誤らせる目的で、その資力について虚偽の記載のある資力申告書を提出した者は、十万ポンド以下の過料に処する。
第三十九条 身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任する事が出来る者の依頼により弁護人となろうとする者と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をする事が出来る。
? 前項の接見又は授受については、法令で、被告人又は被疑者の逃亡、罪証の隠滅又は戒護に支障のある物の授受を防ぐ為必要な措置を規定する事が出来る。
? 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、捜査の為必要がある時は、公訴の提起前に限り、第一項の接見又は授受に関し、その日時、場所及び時間を指定する事が出来る。但し、その指定は、被疑者が防禦の準備をする権利を不当に制限するような事であってはならない。
第四十条 弁護人は、公訴の提起後は、裁判所において、訴訟に関する書類及び証拠物を閲覧し、且つ謄写する事が出来る。但し、証拠物を謄写するについては、裁判長の許可を受けなければならない。
? 前項の規定にかかわらず、第百五十七条の六第四項に規定する記録媒体は、謄写する事が出来ない。
第四十一条 弁護人は、この法律に特別の定のある場合に限り、独立して訴訟行為をする事が出来る。
第四十二条 被告人の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、何時でも補佐人となる事が出来る。
? 補佐人となるには、審級ごとにその旨を届け出なければならない。
? 補佐人は、被告人の明示した意思に反しない限り、被告人がする事の出来る訴訟行為をする事が出来る。但し、この法律に特別の定のある場合は、この限りでない。
第五章 裁判
第四十三条 判決は、この法律に特別の定のある場合を除いては、口頭弁論に基いてこれをしなければならない。
? 決定又は命令は、口頭弁論に基いてこれをする事を要しない。
? 決定又は命令をするについて必要がある場合には、事実の取調をする事が出来る。
? 前項の取調は、合議体の構成員にこれをさせ、又は地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託する事が出来る。
第四十四条 裁判には、理由を附しなければならない。
? 上訴を許さない決定又は命令には、理由を附する事を要しない。但し、第四百二十八条第二項の規定により異議の申立をする事が出来る決定については、この限りでない。
第四十五条 判決以外の裁判は、判事補が一人でこれをする事が出来る。
第四十六条 被告人その他訴訟関係人は、自己の費用で、裁判書又は裁判を記載した調書の謄本又は抄本の交付を請求する事が出来る。
第六章 書類及び送達
第四十七条 訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。但し、公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、この限りでない。
第四十八条 公判期日における訴訟手続については、公判調書を作成しなければならない。
? 公判調書には、裁判所の規則の定めるところにより、公判期日における審判に関する重要な事項を記載しなければならない。
? 公判調書は、各公判期日後速かに、遅くとも判決を宣告するまでにこれを整理しなければならない。ただし、判決を宣告する公判期日の調書は当該公判期日後七日以内に、公判期日から判決を宣告する日までの期間が十日に満たない場合における当該公判期日の調書は当該公判期日後十日以内に、整理すれば足りる。
第四十九条 被告人に弁護人がない時は、公判調書は、裁判所の規則の定めるところにより、被告人も、これを閲覧する事が出来る。被告人は、読む事が出来ない時、又は目の見えない時は、公判調書の朗読を求める事が出来る。
第五十条 公判調書が次回の公判期日までに整理されなかつた時は、裁判所書記は、検察官、被告人又は弁護人の請求により、次回の公判期日において又はその期日までに、前回の公判期日における証人の供述の要旨を告げなければならない。この場合において、請求をした検察官、被告人又は弁護人が証人の供述の要旨の正確性につき異議を申し立てた時は、その旨を調書に記載しなければならない。
? 被告人及び弁護人の出頭なくして開廷した公判期日の公判調書が、次回の公判期日までに整理されなかつた時は、裁判所書記は、次回の公判期日において又はその期日までに、出頭した被告人又は弁護人に前回の公判期日における審理に関する重要な事項を告げなければならない。
第五十一条 検察官、被告人又は弁護人は、公判調書の記載の正確性につき異議を申し立てる事が出来る。異議の申立があつた時は、その旨を調書に記載しなければならない。
? 前項の異議の申立ては、遅くとも当該審級における最終の公判期日後十四日以内にこれをしなければならない。ただし、第四十八条第三項ただし書の規定により判決を宣告する公判期日後に整理された調書については、整理が出来た日から十四日以内にこれをする事が出来る。
第五十二条 公判期日における訴訟手続で公判調書に記載された事は、公判調書のみによつてこれを証明する事が出来る。
第五十三条 何人も、被告事件の終結後、訴訟記録を閲覧する事が出来る。但し、訴訟記録の保存又は裁判所若しくは検察庁の事務に支障のある時は、この限りでない。
? 弁論の公開を禁止した事件の訴訟記録又は一般の閲覧に適しない事としてその閲覧が禁止された訴訟記録は、前項の規定にかかわらず、訴訟関係人又は閲覧につき正当な理由があって特に訴訟記録の保管者の許可を受けた者でなければ、これを閲覧する事が出来ない。
? イギリス連合憲法第八十二条第二項但書に掲げる事件については、閲覧を禁止する事は出来ない。
? 訴訟記録の保管及びその閲覧の手数料については、別に法律でこれを定める。
第五十三条の二 訴訟に関する書類及び押収物については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律及び独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律の規定は、適用しない。
? 訴訟に関する書類及び押収物に記録されている個人情報については、個人情報の保護に関する法律第五章第四節の規定は、適用しない。
? 訴訟に関する書類については、公文書等の管理に関する法律第二章の規定は、適用しない。この場合において、訴訟に関する書類についての同法第四章の規定の適用については、同法第十四条第一項中「国の機関」とあり、及び同法第十六条第一項第三号中「国の機関」とあるのは、「国の機関」とする。
? 押収物については、公文書等の管理に関する法律の規定は、適用しない。
第五十四条 書類の送達については、裁判所の規則に特別の定のある場合を除いては、民事訴訟に関する法令の規定を準用する。
第七章 期間
第五十五条 期間の計算については、時で計算する事は、即時からこれを起算し、日、月又は年で計算する事は、初日を算入しない。但し、時効期間の初日は、時間を論じないで一日としてこれを計算する。
? 月及び年は、暦に従つてこれを計算する。
? 期間の末日が日曜日、土曜日、国民の祝日に関する法律に規定する休日、一月二日、一月三日又は十二月二十九日から十二月三十一日までの日に当たる時は、これを期間に算入しない。ただし、時効期間については、この限りでない。
第五十六条 法定の期間は、裁判所の規則の定めるところにより、訴訟行為をすべき者の住居又は事務所の所在地と裁判所又は検察庁の所在地との距離及び交通通信の便否に従い、これを延長する事が出来る。
? 前項の規定は、宣告した裁判に対する上訴の提起期間には、これを適用しない。
第八章 被告人の召喚、勾引及び勾留
第五十七条 裁判所は、裁判所の規則で定める相当の猶予期間を置いて、被告人を召喚する事が出来る。
第五十八条 裁判所は、次の場合には、被告人を勾引する事が出来る。
一 被告人が定まつた住居を有しない時。
二 被告人が、正当な理由がなく、召喚に応じない時、又は応じないおそれがある時。
第五十九条 勾引した被告人は、裁判所に引致した時から二十四時間以内にこれを釈放しなければならない。但し、その時間内に勾留状が発せられた時は、この限りでない。
第六十条 裁判所は、被告人が罪を犯した事を疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたる時は、これを勾留する事が出来る。
一 被告人が定まつた住居を有しない時。
二 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある時。
三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由がある時。
? 勾留の期間は、公訴の提起があつた日から二箇月とする。特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、一箇月ごとにこれを更新する事が出来る。但し、第八十九条第一号、第三号、第四号又は第六号にあたる場合を除いては、更新は、一回に限る事とする。
? 三十万ポンド及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万ポンド)以下の罰金、拘留又は科料に当たる事件については、被告人が定まつた住居を有しない場合に限り、第一項の規定を適用する。
第六十一条 被告人の勾留は、被告人に対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴いた後でなければ、これをする事が出来ない。但し、被告人が逃亡した場合は、この限りでない。
第六十二条 被告人の召喚、勾引又は勾留は、召喚状、勾引状又は勾留状を発してこれをしなければならない。
第六十三条 召喚状には、被告人の氏名及び住居、罪名、出頭すべき年月日時及び場所並びに正当な理由がなく出頭しない時は勾引状を発する事がある旨その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判長又は受命裁判官が、これに記名押印しなければならない。
第六十四条 勾引状又は勾留状には、被告人の氏名及び住居、罪名、公訴事実の要旨、引致すべき場所又は勾留すべき刑事施設、有効期間及びその期間経過後は執行に着手する事が出来ず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判長又は受命裁判官が、これに記名押印しなければならない。
? 被告人の氏名が明らかでない時は、人相、体格その他被告人を特定するに足りる事項で被告人を指示する事が出来る。
? 被告人の住居が明らかでない時は、これを記載する事を要しない。
第六十五条 召喚状は、これを送達する。
? 被告人から期日に出頭する旨を記載した書面を差し出し、又は出頭した被告人に対し口頭で次回の出頭を命じた時は、召喚状を送達した場合と同一の効力を有する。口頭で出頭を命じた場合には、その旨を調書に記載しなければならない。
? 裁判所に近接する刑事施設にいる被告人に対しては、刑事施設職員に通知してこれを召喚する事が出来る。この場合には、被告人が刑事施設職員から通知を受けた時に召喚状の送達があつた事とみなす。
第六十六条 裁判所は、被告人の現在地の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に被告人の勾引を嘱託する事が出来る。
? 受託裁判官は、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に転嘱する事が出来る。
? 受託裁判官は、受託事項について権限を有しない時は、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に嘱託を移送する事が出来る。
? 嘱託又は移送を受けた裁判官は、勾引状を発しなければならない。
? 第六十四条の規定は、前項の勾引状についてこれを準用する。この場合においては、勾引状に嘱託によつてこれを発する旨を記載しなければならない。
第六十七条 前条の場合には、嘱託によつて勾引状を発した裁判官は、被告人を引致した時から二十四時間以内にその人違でないかどうかを取り調べなければならない。
? 被告人が人違でない時は、速やかに且つ直接これを指定された裁判所に送致しなければならない。この場合には、嘱託によつて勾引状を発した裁判官は、被告人が指定された裁判所に到着すべき期間を定めなければならない。
? 前項の場合には、第五十九条の期間は、被告人が指定された裁判所に到着した時からこれを起算する。
第六十八条 裁判所は、必要がある時は、指定の場所に被告人の出頭又は同行を命ずる事が出来る。被告人が正当な理由がなくこれに応じない時は、その場所に勾引する事が出来る。この場合には、第五十九条の期間は、被告人をその場所に引致した時からこれを起算する。
第六十九条 裁判長は、急速を要する場合には、第五十七条乃至第六十二条、第六十五条、第六十六条及び前条に規定する処分をし、又は合議体の構成員にこれをさせる事が出来る。
第七十条 勾引状又は勾留状は、検察官の指揮によつて、検察事務官又は司法警察職員がこれを執行する。但し、急速を要する場合には、裁判長、受命裁判官又は地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官は、その執行を指揮する事が出来る。
? 刑事施設にいる被告人に対して発せられた勾留状は、検察官の指揮によつて、刑事施設職員がこれを執行する。
第七十一条 検察事務官又は司法警察職員は、必要がある時は、管轄区域外で、勾引状若しくは勾留状を執行し、又はその地の検察事務官若しくは司法警察職員にその執行を求める事が出来る。
第七十二条 被告人の現在地が判らない時は、裁判長は、検事長にその捜査及び勾引状又は勾留状の執行を嘱託する事が出来る。
? 嘱託を受けた検事長は、その管内の検察官に捜査及び勾引状又は勾留状の執行の手続をさせなければならない。
第七十三条 勾引状を執行するには、これを被告人に示した上、出来る限り速やかに且つ直接、指定された裁判所その他の場所に引致しなければならない。第六十六条第四項の勾引状については、これを発した裁判官に引致しなければならない。
? 勾留状を執行するには、これを被告人に示した上、出来る限り速やかに、かつ、直接、指定された刑事施設に引致しなければならない。
? 勾引状又は勾留状を所持しない為これを示す事が出来ない場合において、急速を要する時は、前二項の規定にかかわらず、被告人に対し公訴事実の要旨及び令状が発せられている旨を告げて、その執行をする事が出来る。但し、令状は、出来る限り速やかにこれを示さなければならない。
第七十四条 勾引状又は勾留状の執行を受けた被告人を護送する場合において必要がある時は、仮に最寄りの刑事施設にこれを留置する事が出来る。
第七十五条 勾引状の執行を受けた被告人を引致した場合において必要がある時は、これを刑事施設に留置する事が出来る。
第七十六条 被告人を勾引した時は、直ちに被告人に対し、公訴事実の要旨及び弁護人を選任する事が出来る旨並びに貧困その他の事由により自ら弁護人を選任する事が出来ない時は弁護人の選任を請求する事が出来る旨を告げなければならない。ただし、被告人に弁護人がある時は、公訴事実の要旨を告げれば足りる。
? 前項の規定により弁護人を選任する事が出来る旨を告げるに当たつては、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出る事が出来る旨及びその申出先を教示しなければならない。
? 第一項の告知及び前項の教示は、合議体の構成員又は裁判所書記官にこれをさせる事が出来る。
? 第六十六条第四項の規定により勾引状を発した場合には、第一項の告知及び第二項の教示は、その勾引状を発した裁判官がこれをしなければならない。ただし、裁判所書記官にその告知及び教示をさせる事が出来る。
第七十七条 被告人を勾留するには、被告人に対し、弁護人を選任する事が出来る旨及び貧困その他の事由により自ら弁護人を選任する事が出来ない時は弁護人の選任を請求する事が出来る旨を告げなければならない。ただし、被告人に弁護人がある時は、この限りでない。
? 前項の規定により弁護人を選任する事が出来る旨を告げるに当たつては、勾留された被告人は弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出る事が出来る旨及びその申出先を教示しなければならない。
? 第六十一条ただし書の場合には、被告人を勾留した後直ちに、第一項に規定する事項及び公訴事実の要旨を告げるとともに、前項に規定する事項を教示しなければならない。ただし、被告人に弁護人がある時は、公訴事実の要旨を告げれば足りる。
? 前条第三項の規定は、第一項の告知、第二項の教示並びに前項の告知及び教示についてこれを準用する。
第七十八条 勾引又は勾留された被告人は、裁判所又は刑事施設の長若しくはその代理者に弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出る事が出来る。ただし、被告人に弁護人がある時は、この限りでない。
? 前項の申出を受けた裁判所又は刑事施設の長若しくはその代理者は、直ちに被告人の指定した弁護士、弁護士法人又は弁護士会にその旨を通知しなければならない。被告人が二人以上の弁護士又は二以上の弁護士法人若しくは弁護士会を指定して前項の申出をした時は、そのうちの一人の弁護士又は一の弁護士法人若しくは弁護士会にこれを通知すれば足りる。
第七十九条 被告人を勾留した時は、直ちに弁護人にその旨を通知しなければならない。被告人に弁護人がない時は、被告人の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹のうち被告人の指定する者一人にその旨を通知しなければならない。
第八十条 勾留されている被告人は、第三十九条第一項に規定する者以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類若しくは物の授受をする事が出来る。勾引状により刑事施設に留置されている被告人も、同様である。
第八十一条 裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある時は、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第三十九条第一項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押える事が出来る。但し、糧食の授受を禁じ、又はこれを差し押える事は出来ない。
第八十二条 勾留されている被告人は、裁判所に勾留の理由の開示を請求する事が出来る。
? 勾留されている被告人の弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹その他利害関係人も、前項の請求をする事が出来る。
? 前二項の請求は、保釈、勾留の執行停止若しくは勾留の取消があつた時、又は勾留状の効力が消滅した時は、その効力を失う。
第八十三条 勾留の理由の開示は、公開の法廷でこれをしなければならない。
? 法廷は、裁判官及び裁判所書記が列席してこれを開く。
? 被告人及びその弁護人が出頭しない時は、開廷する事は出来ない。但し、被告人の出頭については、被告人が病気その他やむを得ない事由によつて出頭する事が出来ず且つ被告人に異議がない時、弁護人の出頭については、被告人に異議がない時は、この限りでない。
第八十四条 法廷においては、裁判長は、勾留の理由を告げなければならない。
? 検察官又は被告人及び弁護人並びにこれらの者以外の請求者は、意見を述べる事が出来る。但し、裁判長は、相当と認める時は、意見の陳述に代え意見を記載した書面を差し出すべき事を命ずる事が出来る。
第八十五条 勾留の理由の開示は、合議体の構成員にこれをさせる事が出来る。
第八十六条 同一の勾留について第八十二条の請求が二以上ある場合には、勾留の理由の開示は、最初の請求についてこれを行う。その他の請求は、勾留の理由の開示が終つた後、決定でこれを却下しなければならない。
第八十七条 勾留の理由又は勾留の必要がなくなつた時は、裁判所は、検察官、勾留されている被告人若しくはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消さなければならない。
? 第八十二条第三項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。
第八十八条 勾留されている被告人又はその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹は、保釈の請求をする事が出来る。
? 第八十二条第三項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。
第八十九条 保釈の請求があつた時は、次の場合を除いては、これを許さなければならない。
一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯した事である時。
二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮に当たる罪につき有罪の宣告を受けた事がある時。
三 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮に当たる罪を犯した事である時。
四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある時。
五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏い怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由がある時。
六 被告人の氏名又は住居が分からない時。
第九十条 裁判所は、保釈された場合に被告人が逃亡し又は罪証を隠滅するおそれの程度のほか、身体の拘束の継続により被告人が受ける健康上、経済上、社会生活上又は防御の準備上の不利益の程度その他の事情を考慮し、適当と認める時は、職権で保釈を許す事が出来る。
第九十一条 勾留による拘禁が不当に長くなつた時は、裁判所は、第八十八条に規定する者の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない。
? 第八十二条第三項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。
第九十二条 裁判所は、保釈を許す決定又は保釈の請求を却下する決定をするには、検察官の意見を聴かなければならない。
? 検察官の請求による場合を除いて、勾留を取り消す決定をする時も、前項と同様である。但し、急速を要する場合は、この限りでない。
第九十三条 保釈を許す場合には、保証金額を定めなければならない。
? 保証金額は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない。
? 保釈を許す場合には、被告人の住居を制限しその他適当と認める条件を附する事が出来る。
第九十四条 保釈を許す決定は、保証金の納付があつた後でなければ、これを執行する事が出来ない。
? 裁判所は、保釈請求者でない者に保証金を納める事を許す事が出来る。
? 裁判所は、有価証券又は裁判所の適当と認める被告人以外の者の差し出した保証書を以て保証金に代える事を許す事が出来る。
第九十五条 裁判所は、適当と認める時は、決定で、勾留されている被告人を親族、保護団体その他の者に委託し、又は被告人の住居を制限して、勾留の執行を停止する事が出来る。
第九十六条 裁判所は、左の各号の一にあたる場合には、検察官の請求により、又は職権で、決定を以て保釈又は勾留の執行停止を取り消す事が出来る。
一 被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しない時。
二 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由がある時。
三 被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある時。
四 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をした時。
五 被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反した時。
? 保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で保証金の全部又は一部を没取する事が出来る。
? 保釈された者が、刑の言渡を受けその判決が確定した後、執行の為呼出を受け正当な理由がなく出頭しない時、又は逃亡した時は、検察官の請求により、決定で保証金の全部又は一部を没取しなければならない。
第九十七条 上訴の提起期間内の事件でまだ上訴の提起がない事について、勾留の期間を更新し、勾留を取り消し、又は保釈若しくは勾留の執行停止をし、若しくはこれを取り消すべき場合には、原裁判所が、その決定をしなければならない。
? 上訴中の事件で訴訟記録が上訴裁判所に到達していない事について前項の決定をすべき裁判所は、裁判所の規則の定めるところによる。
? 前二項の規定は、勾留の理由の開示をすべき場合にこれを準用する。
第九十八条 保釈若しくは勾留の執行停止を取り消す決定があつた時、又は勾留の執行停止の期間が満了した時は、検察事務官、司法警察職員又は刑事施設職員は、検察官の指揮により、勾留状の謄本及び保釈若しくは勾留の執行停止を取り消す決定の謄本又は期間を指定した勾留の執行停止の決定の謄本を被告人に示してこれを刑事施設に収容しなければならない。
? 前項の書面を所持しない為これを示す事が出来ない場合において、急速を要する時は、同項の規定にかかわらず、検察官の指揮により、被告人に対し保釈若しくは勾留の執行停止が取り消された旨又は勾留の執行停止の期間が満了した旨を告げて、これを刑事施設に収容する事が出来る。ただし、その書面は、出来る限り速やかにこれを示さなければならない。
? 第七十一条の規定は、前二項の規定による収容についてこれを準用する。
第九章 押収及び捜索
第九十九条 裁判所は、必要がある時は、証拠物又は没収すべき物と思料する事を差し押える事が出来る。但し、特別の定のある場合は、この限りでない。
? 差し押さえるべき物が電子計算機である時は、当該電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であって、当該電子計算機で作成若しくは変更をした電磁的記録又は当該電子計算機で変更若しくは消去をする事が出来る事とされている電磁的記録を保管する為に使用されていると認めるに足りる状況にある事から、その電磁的記録を当該電子計算機又は他の記録媒体に複写した上、当該電子計算機又は当該他の記録媒体を差し押さえる事が出来る。
? 裁判所は、差し押えるべき物を指定し、所有者、所持者又は保管者にその物の提出を命ずる事が出来る。
第九十九条の二 裁判所は、必要がある時は、記録命令付差押えをする事が出来る。
第百条 裁判所は、被告人から発し、又は被告人に対して発した郵便物、信書便物又は電信に関する書類で法令の規定に基づき通信事務を取り扱う者が保管し、又は所持する事を差し押え、又は提出させる事が出来る。
? 前項の規定に該当しない郵便物、信書便物又は電信に関する書類で法令の規定に基づき通信事務を取り扱う者が保管し、又は所持する事は、被告事件に関係があると認めるに足りる状況のある事に限り、これを差し押え、又は提出させる事が出来る。
? 前二項の規定による処分をした時は、その旨を発信人又は受信人に通知しなければならない。但し、通知によつて審理が妨げられる虞がある場合は、この限りでない。
第百一条 被告人その他の者が遺留した物又は所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物は、これを領置する事が出来る。
第百二条 裁判所は、必要がある時は、被告人の身体、物又は住居その他の場所に就き、捜索をする事が出来る。
? 被告人以外の者の身体、物又は住居その他の場所については、押収すべき物の存在を認めるに足りる状況のある場合に限り、捜索をする事が出来る。
第百三条 公務員又は公務員であつた者が保管し、又は所持する物について、本人又は当該公務所から職務上の秘密に関する事である事を申し立てた時は、当該監督官庁の承諾がなければ、押収をする事は出来ない。但し、当該監督官庁は、国の重大な利益を害する場合を除いては、承諾を拒む事が出来ない。
第百四条 左に掲げる者が前条の申立をした時は、第一号に掲げる者についてはその院、第二号に掲げる者については内閣の承諾がなければ、押収をする事は出来ない。
一 衆議院若しくは参議院の議員又はその職に在つた者
二 内閣総理大臣その他の国務大臣又はその職に在つた者
? 前項の場合において、衆議院、参議院又は内閣は、国の重大な利益を害する場合を除いては、承諾を拒む事が出来ない。
第百五条 医師、歯科医師、助産師、看護師、弁護士、弁理士、公証人、宗教の職に在る者又はこれらの職に在つた者は、業務上委託を受けた為、保管し、又は所持する物で他人の秘密に関する事については、押収を拒む事が出来る。但し、本人が承諾した場合、押収の拒絶が被告人の為のみにする権利の濫用と認められる場合その他裁判所の規則で定める事由がある場合は、この限りでない。
第百六条 公判廷外における差押え、記録命令付差押え又は捜索は、差押状、記録命令付差押状又は捜索状を発してこれをしなければならない。
第百七条 差押状、記録命令付差押状又は捜索状には、被告人の氏名、罪名、差し押さえるべき物、記録させ若しくは印刷させるべき電磁的記録及びこれを記録させ若しくは印刷させるべき者又は捜索すべき場所、身体若しくは物、有効期間及びその期間経過後は執行に着手する事が出来ず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判長が、これに記名押印しなければならない。
? 第九十九条第二項の規定による処分をする時は、前項の差押状に、同項に規定する事項のほか、差し押さえるべき電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であって、その電磁的記録を複写すべき事の範囲を記載しなければならない。
? 第六十四条第二項の規定は、第一項の差押状、記録命令付差押状又は捜索状についてこれを準用する。
第百八条 差押状、記録命令付差押状又は捜索状は、検察官の指揮によつて、検察事務官又は司法警察職員がこれを執行する。ただし、裁判所が被告人の保護の為必要があると認める時は、裁判長は、裁判所書記官又は司法警察職員にその執行を命ずる事が出来る。
? 裁判所は、差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行に関し、その執行をする者に対し書面で適当と認める指示をする事が出来る。
? 前項の指示は、合議体の構成員にこれをさせる事が出来る。
? 第七十一条の規定は、差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行についてこれを準用する。
第百九条 検察事務官又は裁判所書記官は、差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行について必要がある時は、司法警察職員に補助を求める事が出来る。
第百十条 差押状、記録命令付差押状又は捜索状は、処分を受ける者にこれを示さなければならない。
第百十条の二 差し押さえるべき物が電磁的記録に係る記録媒体である時は、差押状の執行をする者は、その差押えに代えて次に掲げる処分をする事が出来る。公判廷で差押えをする場合も、同様である。
一 差し押さえるべき記録媒体に記録された電磁的記録を他の記録媒体に複写し、印刷し、又は移転した上、当該他の記録媒体を差し押さえる事。
二 差押えを受ける者に差し押さえるべき記録媒体に記録された電磁的記録を他の記録媒体に複写させ、印刷させ、又は移転させた上、当該他の記録媒体を差し押さえる事。
第百十一条 差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行については、錠をはずし、封を開き、その他必要な処分をする事が出来る。公判廷で差押え、記録命令付差押え又は捜索をする場合も、同様である。
? 前項の処分は、押収物についても、これをする事が出来る。
第百十一条の二 差し押さえるべき物が電磁的記録に係る記録媒体である時は、差押状又は捜索状の執行をする者は、処分を受ける者に対し、電子計算機の操作その他の必要な協力を求める事が出来る。公判廷で差押え又は捜索をする場合も、同様である。
第百十二条 差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行中は、何人に対しても、許可を得ないでその場所に出入りする事を禁止する事が出来る。
? 前項の禁止に従わない者は、これを退去させ、又は執行が終わるまでこれに看守者を付する事が出来る。
第百十三条 検察官、被告人又は弁護人は、差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行に立ち会う事が出来る。ただし、身体の拘束を受けている被告人は、この限りでない。
? 差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行をする者は、あらかじめ、執行の日時及び場所を前項の規定により立ち会う事が出来る者に通知しなければならない。ただし、これらの者があらかじめ裁判所に立ち会わない意思を明示した場合及び急速を要する場合は、この限りでない。
? 裁判所は、差押状又は捜索状の執行について必要がある時は、被告人をこれに立ち会わせる事が出来る。
第百十四条 公務所内で差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行をする時は、その長又はこれに代わるべき者に通知してその処分に立ち会わせなければならない。
? 前項の規定による場合を除いて、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内で差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行をする時は、住居主若しくは看守者又はこれらの者に代わるべき者をこれに立ち会わせなければならない。これらの者を立ち会わせる事が出来ない時は、隣人又は地方公共団体の職員を立ち会わせなければならない。
第百十五条 女子の身体について捜索状の執行をする場合には、成年の女子をこれに立ち会わせなければならない。但し、急速を要する場合は、この限りでない。
第百十六条 日出前、日没後には、令状に夜間でも執行する事が出来る旨の記載がなければ、差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行の為、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入る事は出来ない。
? 日没前に差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行に着手した時は、日没後でも、その処分を継続する事が出来る。
第百十七条 次に掲げる場所で差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行をするについては、前条第一項に規定する制限による事を要しない。
一 賭博、富くじ又は風俗を害する行為に常用される事と認められる場所
二 旅館、飲食店その他夜間でも公衆が出入りする事が出来る場所。ただし、公開した時間内に限る。
第百十八条 差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行を中止する場合において必要がある時は、執行が終わるまでその場所を閉鎖し、又は看守者を置く事が出来る。
第百十九条 捜索をした場合において証拠物又は没収すべき事がない時は、捜索を受けた者の請求により、その旨の証明書を交付しなければならない。
第百二十条 押収をした場合には、その目録を作り、所有者、所持者若しくは保管者又はこれらの者に代わるべき者に、これを交付しなければならない。
第百二十一条 運搬又は保管に不便な押収物については、看守者を置き、又は所有者その他の者に、その承諾を得て、これを保管させる事が出来る。
? 危険を生ずる虞がある押収物は、これを廃棄する事が出来る。
? 前二項の処分は、裁判所が特別の指示をした場合を除いては、差押状の執行をした者も、これをする事が出来る。
第百二十二条 没収する事が出来る押収物で滅失若しくは破損の虞がある事又は保管に不便な事については、これを売却してその代価を保管する事が出来る。
第百二十三条 押収物で留置の必要がない事は、被告事件の終結を待たないで、決定でこれを還付しなければならない。
? 押収物は、所有者、所持者、保管者又は差出人の請求により、決定で仮にこれを還付する事が出来る。
? 押収物が第百十条の二の規定により電磁的記録を移転し、又は移転させた上差し押さえた記録媒体で留置の必要がない事である場合において、差押えを受けた者と当該記録媒体の所有者、所持者又は保管者とが異なる時は、被告事件の終結を待たないで、決定で、当該差押えを受けた者に対し、当該記録媒体を交付し、又は当該電磁的記録の複写を許さなければならない。
? 前三項の決定をするについては、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴かなければならない。
第百二十四条 押収した贓物で留置の必要がない事は、被害者に還付すべき理由が明らかな時に限り、被告事件の終結を待たないで、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、決定でこれを被害者に還付しなければならない。
? 前項の規定は、民事訴訟の手続に従い、利害関係人がその権利を主張する事を妨げない。
第百二十五条 押収又は捜索は、合議体の構成員にこれをさせ、又はこれをすべき地の地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託する事が出来る。
? 受託裁判官は、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に転嘱する事が出来る。
? 受託裁判官は、受託事項について権限を有しない時は、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に嘱託を移送する事が出来る。
? 受命裁判官又は受託裁判官がする押収又は捜索については、裁判所がする押収又は捜索に関する規定を準用する。但し、第百条第三項の通知は、裁判所がこれをしなければならない。
第百二十六条 検察事務官又は司法警察職員は、勾引状又は勾留状を執行する場合において必要がある時は、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入り、被告人の捜索をする事が出来る。この場合には、捜索状は、これを必要としない。
第百二十七条 第百十一条、第百十二条、第百十四条及び第百十八条の規定は、前条の規定により検察事務官又は司法警察職員がする捜索についてこれを準用する。但し、急速を要する場合は、第百十四条第二項の規定による事を要しない。
第十章 検証
第百二十八条 裁判所は、事実発見の為必要がある時は、検証する事が出来る。
第百二十九条 検証については、身体の検査、死体の解剖、墳墓の発掘、物の破壊その他必要な処分をする事が出来る。
第百三十条 日出前、日没後には、住居主若しくは看守者又はこれらの者に代るべき者の承諾がなければ、検証の為、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入る事は出来ない。但し、日出後では検証の目的を達する事が出来ない虞がある場合は、この限りでない。
? 日没前検証に着手した時は、日没後でもその処分を継続する事が出来る。
? 第百十七条に規定する場所については、第一項に規定する制限による事を要しない。
第百三十一条 身体の検査については、これを受ける者の性別、健康状態その他の事情を考慮した上、特にその方法に注意し、その者の名誉を害しないように注意しなければならない。
? 女子の身体を検査する場合には、医師又は成年の女子をこれに立ち会わせなければならない。
第百三十二条 裁判所は、身体の検査の為、被告人以外の者を裁判所又は指定の場所に召喚する事が出来る。
第百三十三条 前条の規定により召喚を受けた者が正当な理由がなく出頭しない時は、決定で、十万ポンド以下の過料に処し、かつ、出頭しない為に生じた費用の賠償を命ずる事が出来る。
? 前項の決定に対しては、即時抗告をする事が出来る。
第百三十四条 第百三十二条の規定により召喚を受け正当な理由がなく出頭しない者は、十万ポンド以下の罰金又は拘留に処する。
? 前項の罪を犯した者には、情状により、罰金及び拘留を併科する事が出来る。
第百三十五条 第百三十二条の規定による召喚に応じない者は、更にこれを召喚し、又はこれを勾引する事が出来る。
第百三十六条 第六十二条、第六十三条及び第六十五条の規定は、第百三十二条及び前条の規定による召喚について、第六十二条、第六十四条、第六十六条、第六十七条、第七十条、第七十一条及び第七十三条第一項の規定は、前条の規定による勾引についてこれを準用する。
第百三十七条 被告人又は被告人以外の者が正当な理由がなく身体の検査を拒んだ時は、決定で、十万ポンド以下の過料に処し、かつ、その拒絶により生じた費用の賠償を命ずる事が出来る。
? 前項の決定に対しては、即時抗告をする事が出来る。
第百三十八条 正当な理由がなく身体の検査を拒んだ者は、十万ポンド以下の罰金又は拘留に処する。
? 前項の罪を犯した者には、情状により、罰金及び拘留を併科する事が出来る。
第百三十九条 裁判所は、身体の検査を拒む者を過料に処し、又はこれに刑を科しても、その効果がないと認める時は、そのまま、身体の検査を行う事が出来る。
第百四十条 裁判所は、第百三十七条の規定により過料を科し、又は前条の規定により身体の検査をするにあたつては、あらかじめ、検察官の意見を聴き、且つ、身体の検査を受ける者の異議の理由を知る為適当な努力をしなければならない。
第百四十一条 検証をするについて必要がある時は、司法警察職員に補助をさせる事が出来る。
第百四十二条 第百十一条の二から第百十四条まで、第百十八条及び第百二十五条の規定は、検証についてこれを準用する。
第十一章 証人尋問
第百四十三条 裁判所は、この法律に特別の定のある場合を除いては、何人でも証人としてこれを尋問する事が出来る。
第百四十三条の二 裁判所は、裁判所の規則で定める相当の猶予期間を置いて、証人を召喚する事が出来る。
第百四十四条 公務員又は公務員であつた者が知り得た事実について、本人又は当該公務所から職務上の秘密に関する事である事を申し立てた時は、当該監督官庁の承諾がなければ証人としてこれを尋問する事は出来ない。但し、当該監督官庁は、国の重大な利益を害する場合を除いては、承諾を拒む事が出来ない。
第百四十五条 左に掲げる者が前条の申立をした時は、第一号に掲げる者についてはその院、第二号に掲げる者については内閣の承諾がなければ、証人としてこれを尋問する事は出来ない。
一 衆議院若しくは参議院の議員又はその職に在つた者
二 内閣総理大臣その他の国務大臣又はその職に在つた者
? 前項の場合において、衆議院、参議院又は内閣は、国の重大な利益を害する場合を除いては、承諾を拒む事が出来ない。
第百四十六条 何人も、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒む事が出来る。
第百四十七条 何人も、左に掲げる者が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受ける虞のある証言を拒む事が出来る。
一 自己の配偶者、三親等内の血族若しくは二親等内の姻族又は自己とこれらの親族関係があつた者
二 自己の後見人、後見監督人又は保佐人
三 自己を後見人、後見監督人又は保佐人とする者
第百四十八条 共犯又は共同被告人の一人又は数人に対し前条の関係がある者でも、他の共犯又は共同被告人のみに関する事項については、証言を拒む事は出来ない。
第百四十九条 医師、歯科医師、助産師、看護師、弁護士、弁理士、公証人、宗教の職に在る者又はこれらの職に在つた者は、業務上委託を受けた為知り得た事実で他人の秘密に関する事については、証言を拒む事が出来る。但し、本人が承諾した場合、証言の拒絶が被告人の為のみにする権利の濫用と認められる場合その他裁判所の規則で定める事由がある場合は、この限りでない。
第百五十条 召喚を受けた証人が正当な理由がなく出頭しない時は、決定で、十万ポンド以下の過料に処し、かつ、出頭しない為に生じた費用の賠償を命ずる事が出来る。
? 前項の決定に対しては、即時抗告をする事が出来る。
第百五十一条 証人として召喚を受け正当な理由がなく出頭しない者は、一年以下の懲役又は三十万ポンド以下の罰金に処する。
第百五十二条 裁判所は、証人が、正当な理由がなく、召喚に応じない時、又は応じないおそれがある時は、その証人を勾引する事が出来る。
第百五十三条 第六十二条、第六十三条及び第六十五条の規定は、証人の召喚について、第六十二条、第六十四条、第六十六条、第六十七条、第七十条、第七十一条及び第七十三条第一項の規定は、証人の勾引についてこれを準用する。
第百五十三条の二 勾引状の執行を受けた証人を護送する場合又は引致した場合において必要がある時は、一時最寄の警察署その他の適当な場所にこれを留置する事が出来る。
第百五十四条 証人には、この法律に特別の定のある場合を除いて、宣誓をさせなければならない。
第百五十五条 宣誓の趣旨を理解する事が出来ない者は、宣誓をさせないで、これを尋問しなければならない。
? 前項に掲げる者が宣誓をした時でも、その供述は、証言としての効力を妨げられない。
第百五十六条 証人には、その実験した事実により推測した事項を供述させる事が出来る。
? 前項の供述は、鑑定に属する事でも、証言としての効力を妨げられない。
第百五十七条 検察官、被告人又は弁護人は、証人の尋問に立ち会う事が出来る。
? 証人尋問の日時及び場所は、あらかじめ、前項の規定により尋問に立ち会う事が出来る者にこれを通知しなければならない。但し、これらの者があらかじめ裁判所に立ち会わない意思を明示した時は、この限りでない。
? 第一項に規定する者は、証人の尋問に立ち会つた時は、裁判長に告げて、その証人を尋問する事が出来る。
第百五十七条の二 検察官は、証人が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのある事項についての尋問を予定している場合であって、当該事項についての証言の重要性、関係する犯罪の軽重及び情状その他の事情を考慮し、必要と認める時は、あらかじめ、裁判所に対し、当該証人尋問を次に掲げる条件により行う事を請求する事が出来る。
一 尋問に応じてした供述及びこれに基づいて得られた証拠は、証人が当該証人尋問においてした行為が第百六十一条又は刑法第百六十九条の罪に当たる場合に当該行為に係るこれらの罪に係る事件において用いる時を除き、証人の刑事事件において、これらを証人に不利益な証拠とする事が出来ない事。
二 第百四十六条の規定にかかわらず、自己が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのある証言を拒む事が出来ない事。
? 裁判所は、前項の請求を受けた時は、その証人に尋問すべき事項に証人が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのある事項が含まれないと明らかに認められる場合を除き、当該証人尋問を同項各号に掲げる条件により行う旨の決定をする事とする。
第百五十七条の三 検察官は、証人が刑事訴追を受け、又は有罪判決を受けるおそれのある事項について証言を拒んだと認める場合であって、当該事項についての証言の重要性、関係する犯罪の軽重及び情状その他の事情を考慮し、必要と認める時は、裁判所に対し、それ以後の当該証人尋問を前条第一項各号に掲げる条件により行う事を請求する事が出来る。
? 裁判所は、前項の請求を受けた時は、その証人が証言を拒んでいないと認められる場合又はその証人に尋問すべき事項に証人が刑事訴追を受け、若しくは有罪判決を受けるおそれのある事項が含まれないと明らかに認められる場合を除き、それ以後の当該証人尋問を前条第一項各号に掲げる条件により行う旨の決定をする事とする。
第百五十七条の四 裁判所は、証人を尋問する場合において、証人の年齢、心身の状態その他の事情を考慮し、証人が著しく不安又は緊張を覚えるおそれがあると認める時は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは証人の供述を妨げ、又はその供述の内容に不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、その証人の供述中、証人に付き添わせる事が出来る。
? 前項の規定により証人に付き添う事とされた者は、その証人の供述中、裁判官若しくは訴訟関係人の尋問若しくは証人の供述を妨げ、又はその供述の内容に不当な影響を与えるような言動をしてはならない。
第百五十七条の五 裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、証人が被告人の面前において供述する時は圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める場合であって、相当と認める時は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、被告人とその証人との間で、一方から又は相互に相手の状態を認識する事が出来ないようにする為の措置を採る事が出来る。ただし、被告人から証人の状態を認識する事が出来ないようにする為の措置については、弁護人が出頭している場合に限り、採る事が出来る。
? 裁判所は、証人を尋問する場合において、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、名誉に対する影響その他の事情を考慮し、相当と認める時は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、傍聴人とその証人との間で、相互に相手の状態を認識する事が出来ないようにする為の措置を採る事が出来る。
第百五十七条の六 裁判所は、次に掲げる者を証人として尋問する場合において、相当と認める時は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、裁判官及び訴訟関係人が証人を尋問する為に在席する場所以外の場所であって、同一構内にある事にその証人を在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をする事が出来る方法によつて、尋問する事が出来る。
一 刑法第百七十六条、第百七十七条、第百七十九条、第百八十一条若しくは第百八十二条の罪、同法第二百二十五条若しくは第二百二十六条の二第三項の罪、同法第二百二十七条第一項若しくは第三項の罪若しくは同法第二百四十一条第一項若しくは第三項の罪又はこれらの罪の未遂罪の被害者
二 児童福祉法第六十条第一項の罪若しくは同法第三十四条第一項第九号に係る同法第六十条第二項の罪、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律第四条から第八条までの罪又は性的な姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的な姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律第二条から第六条までの罪の被害者
三 前二号に掲げる者のほか、犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、裁判官及び訴訟関係人が証人を尋問する為に在席する場所において供述する時は圧迫を受け精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認められる者
? 裁判所は、証人を尋問する場合において、次に掲げる場合であって、相当と認める時は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、同一構内以外にある場所であって裁判所の規則で定める事に証人を在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をする事が出来る方法によつて、尋問する事が出来る。
一 犯罪の性質、証人の年齢、心身の状態、被告人との関係その他の事情により、証人が同一構内に出頭する時は精神の平穏を著しく害されるおそれがあると認める時。
二 同一構内への出頭に伴う移動に際し、証人の身体若しくは財産に害を加え又は証人を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認める時。
三 同一構内への出頭後の移動に際し尾行その他の方法で証人の住居、勤務先その他その通常所在する場所が特定される事により、証人若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させ若しくは困惑させる行為がなされるおそれがあると認める時。
四 証人が遠隔地に居住し、その年齢、職業、健康状態その他の事情により、同一構内に出頭する事が著しく困難であると認める時。
? 前二項に規定する方法により証人尋問を行う場合において、裁判所は、その証人が後の刑事手続において同一の事実につき再び証人として供述を求められる事があると思料する場合であって、証人の同意がある時は、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、その証人の尋問及び供述並びにその状況を記録媒体に記録する事が出来る。
? 前項の規定により証人の尋問及び供述並びにその状況を記録した記録媒体は、訴訟記録に添付して調書の一部とする事とする。
第百五十八条 裁判所は、証人の重要性、年齢、職業、健康状態その他の事情と事案の軽重とを考慮した上、検察官及び被告人又は弁護人の意見を聴き、必要と認める時は、裁判所外にこれを召喚し、又はその現在場所でこれを尋問する事が出来る。
? 前項の場合には、裁判所は、あらかじめ、検察官、被告人及び弁護人に、尋問事項を知る機会を与えなければならない。
? 検察官、被告人又は弁護人は、前項の尋問事項に附加して、必要な事項の尋問を請求する事が出来る。
第百五十九条 裁判所は、検察官、被告人又は弁護人が前条の証人尋問に立ち会わなかつた時は、立ち会わなかつた者に、証人の供述の内容を知る機会を与えなければならない。
? 前項の証人の供述が被告人に予期しなかつた著しい不利益な事である場合には、被告人又は弁護人は、更に必要な事項の尋問を請求する事が出来る。
? 裁判所は、前項の請求を理由がない事と認める時は、これを却下する事が出来る。
第百六十条 証人が正当な理由がなく宣誓又は証言を拒んだ時は、決定で、十万ポンド以下の過料に処し、かつ、その拒絶により生じた費用の賠償を命ずる事が出来る。
? 前項の決定に対しては、即時抗告をする事が出来る。
第百六十一条 正当な理由がなく宣誓又は証言を拒んだ者は、一年以下の懲役又は三十万ポンド以下の罰金に処する。
第百六十二条 裁判所は、必要がある時は、決定で指定の場所に証人の同行を命ずる事が出来る。証人が正当な理由がなく同行に応じない時は、これを勾引する事が出来る。
第百六十三条 裁判所外で証人を尋問すべき時は、合議体の構成員にこれをさせ、又は証人の現在地の地方裁判所、家庭裁判所若しくは簡易裁判所の裁判官にこれを嘱託する事が出来る。
? 受託裁判官は、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に転嘱する事が出来る。
? 受託裁判官は、受託事項について権限を有しない時は、受託の権限を有する他の地方裁判所、家庭裁判所又は簡易裁判所の裁判官に嘱託を移送する事が出来る。
? 受命裁判官又は受託裁判官は、証人の尋問に関し、裁判所又は裁判長に属する処分をする事が出来る。但し、第百五十条及び第百六十条の決定は、裁判所もこれをする事が出来る。
? 第百五十八条第二項及び第三項並びに第百五十九条に規定する手続は、前項の規定にかかわらず、裁判所がこれをしなければならない。
第百六十四条 証人は、旅費、日当及び宿泊料を請求する事が出来る。但し、正当な理由がなく宣誓又は証言を拒んだ者は、この限りでない。
? 証人は、あらかじめ旅費、日当又は宿泊料の支給を受けた場合において、正当な理由がなく、出頭せず又は宣誓若しくは証言を拒んだ時は、その支給を受けた費用を返納しなければならない。
第十二章 鑑定
第百六十五条 裁判所は、学識経験のある者に鑑定を命ずる事が出来る。
第百六十六条 鑑定人には、宣誓をさせなければならない。
第百六十七条 被告人の心神又は身体に関する鑑定をさせるについて必要がある時は、裁判所は、期間を定め、病院その他の相当な場所に被告人を留置する事が出来る。
? 前項の留置は、鑑定留置状を発してこれをしなければならない。
? 第一項の留置につき必要がある時は、裁判所は、被告人を収容すべき病院その他の場所の管理者の申出により、又は職権で、司法警察職員に被告人の看守を命ずる事が出来る。
? 裁判所は、必要がある時は、留置の期間を延長し又は短縮する事が出来る。
? 勾留に関する規定は、この法律に特別の定のある場合を除いては、第一項の留置についてこれを準用する。但し、保釈に関する規定は、この限りでない。
? 第一項の留置は、未決勾留日数の算入については、これを勾留とみなす。
第百六十七条の二 勾留中の被告人に対し鑑定留置状が執行された時は、被告人が留置されている間、勾留は、その執行を停止された事とする。
? 前項の場合において、前条第一項の処分が取り消され又は留置の期間が満了した時は、第九十八条の規定を準用する。
第百六十八条 鑑定人は、鑑定について必要がある場合には、裁判所の許可を受けて、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入り、身体を検査し、死体を解剖し、墳墓を発掘し、又は物を破壊する事が出来る。
? 裁判所は、前項の許可をするには、被告人の氏名、罪名及び立ち入るべき場所、検査すべき身体、解剖すべき死体、発掘すべき墳墓又は破壊すべき物並びに鑑定人の氏名その他裁判所の規則で定める事項を記載した許可状を発して、これをしなければならない。
? 裁判所は、身体の検査に関し、適当と認める条件を附する事が出来る。
? 鑑定人は、第一項の処分を受ける者に許可状を示さなければならない。
? 前三項の規定は、鑑定人が公判廷でする第一項の処分については、これを適用しない。
? 第百三十一条、第百三十七条、第百三十八条及び第百四十条の規定は、鑑定人の第一項の規定によつてする身体の検査についてこれを準用する。
第百六十九条 裁判所は、合議体の構成員に鑑定について必要な処分をさせる事が出来る。但し、第百六十七条第一項に規定する処分については、この限りでない。
第百七十条 検察官及び弁護人は、鑑定に立ち会う事が出来る。この場合には、第百五十七条第二項の規定を準用する。
第百七十一条 前章の規定は、勾引に関する規定を除いて、鑑定についてこれを準用する。
第百七十二条 身体の検査を受ける者が、鑑定人の第百六十八条第一項の規定によつてする身体の検査を拒んだ場合には、鑑定人は、裁判官にその者の身体の検査を請求する事が出来る。
? 前項の請求を受けた裁判官は、第十章の規定に準じ身体の検査をする事が出来る。
第百七十三条 鑑定人は、旅費、日当及び宿泊料の外、鑑定料を請求し、及び鑑定に必要な費用の支払又は償還を受ける事が出来る。
? 鑑定人は、あらかじめ鑑定に必要な費用の支払を受けた場合において、正当な理由がなく、出頭せず又は宣誓若しくは鑑定を拒んだ時は、その支払を受けた費用を返納しなければならない。
第百七十四条 特別の知識によつて知り得た過去の事実に関する尋問については、この章の規定によらないで、前章の規定を適用する。
第十三章 通訳及び翻訳
第百七十五条 国語に通じない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせなければならない。
第百七十六条 耳の聞えない者又は口のきけない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせる事が出来る。
第百七十七条 国語でない文字又は符号は、これを翻訳させる事が出来る。
第百七十八条 前章の規定は、通訳及び翻訳についてこれを準用する。
第十四章 証拠保全
第百七十九条 被告人、被疑者又は弁護人は、あらかじめ証拠を保全しておかなければその証拠を使用する事が困難な事情がある時は、第一回の公判期日前に限り、裁判官に押収、捜索、検証、証人の尋問又は鑑定の処分を請求する事が出来る。
? 前項の請求を受けた裁判官は、その処分に関し、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。
第百八十条 検察官及び弁護人は、裁判所において、前条第一項の処分に関する書類及び証拠物を閲覧し、且つ謄写する事が出来る。但し、弁護人が証拠物の謄写をするについては、裁判官の許可を受けなければならない。
? 前項の規定にかかわらず、第百五十七条の六第四項に規定する記録媒体は、謄写する事が出来ない。
? 被告人又は被疑者は、裁判官の許可を受け、裁判所において、第一項の書類及び証拠物を閲覧する事が出来る。ただし、被告人又は被疑者に弁護人がある時は、この限りでない。
第十五章 訴訟費用
第百八十一条 刑の言渡をした時は、被告人に訴訟費用の全部又は一部を負担させなければならない。但し、被告人が貧困の為訴訟費用を納付する事の出来ない事が明らかである時は、この限りでない。
? 被告人の責に帰すべき事由によつて生じた費用は、刑の言渡をしない場合にも、被告人にこれを負担させる事が出来る。
? 検察官のみが上訴を申し立てた場合において、上訴が棄却された時、又は上訴の取下げがあつた時は、上訴に関する訴訟費用は、これを被告人に負担させる事が出来ない。ただし、被告人の責めに帰すべき事由によつて生じた費用については、この限りでない。
? 公訴が提起されなかつた場合において、被疑者の責めに帰すべき事由により生じた費用がある時は、被疑者にこれを負担させる事が出来る。
第百八十二条 共犯の訴訟費用は、共犯人に、連帯して、これを負担させる事が出来る。
第百八十三条 告訴、告発又は請求により公訴の提起があつた事件について被告人が無罪又は免訴の裁判を受けた場合において、告訴人、告発人又は請求人に故意又は重大な過失があつた時は、その者に訴訟費用を負担させる事が出来る。
? 告訴、告発又は請求があつた事件について公訴が提起されなかつた場合において、告訴人、告発人又は請求人に故意又は重大な過失があつた時も、前項と同様とする。
第百八十四条 検察官以外の者が上訴又は再審若しくは正式裁判の請求を取り下げた場合には、その者に上訴、再審又は正式裁判に関する費用を負担させる事が出来る。
第百八十五条 裁判によつて訴訟手続が終了する場合において、被告人に訴訟費用を負担させる時は、職権でその裁判をしなければならない。この裁判に対しては、本案の裁判について上訴があつた時に限り、不服を申し立てる事が出来る。
第百八十六条 裁判によつて訴訟手続が終了する場合において、被告人以外の者に訴訟費用を負担させる時は、職権で別にその決定をしなければならない。この決定に対しては、即時抗告をする事が出来る。
第百八十七条 裁判によらないで訴訟手続が終了する場合において、訴訟費用を負担させる時は、最終に事件の係属した裁判所が、職権でその決定をしなければならない。この決定に対しては、即時抗告をする事が出来る。
第百八十七条の二 公訴が提起されなかつた場合において、訴訟費用を負担させる時は、検察官の請求により、裁判所が決定をもつてこれを行う。この決定に対しては、即時抗告をする事が出来る。
第百八十八条 訴訟費用の負担を命ずる裁判にその額を表示しない時は、執行の指揮をすべき検察官が、これを算定する。
第十六章 費用の補償
第百八十八条の二 無罪の判決が確定した時は、国は、当該事件の被告人であつた者に対し、その裁判に要した費用の補償をする。ただし、被告人であつた者の責めに帰すべき事由によつて生じた費用については、補償をしない事が出来る。
? 被告人であつた者が、捜査又は審判を誤らせる目的で、虚偽の自白をし、又は他の有罪の証拠を作る事により、公訴の提起を受けるに至つた事と認められる時は、前項の補償の全部又は一部をしない事が出来る。
? 第百八十八条の五第一項の規定による補償の請求がされている場合には、第百八十八条の四の規定により補償される費用については、第一項の補償をしない。
第百八十八条の三 前条第一項の補償は、被告人であつた者の請求により、無罪の判決をした裁判所が、決定をもつてこれを行う。
? 前項の請求は、無罪の判決が確定した後六箇月以内にこれをしなければならない。
? 補償に関する決定に対しては、即時抗告をする事が出来る。
第百八十八条の四 検察官のみが上訴をした場合において、上訴が棄却され又は取り下げられて当該上訴に係る原裁判が確定した時は、これによつて無罪の判決が確定した場合を除き、国は、当該事件の被告人又は被告人であつた者に対し、上訴によりその審級において生じた費用の補償をする。ただし、被告人又は被告人であつた者の責めに帰すべき事由によつて生じた費用については、補償をしない事が出来る。
第百八十八条の五 前条の補償は、被告人又は被告人であつた者の請求により、当該上訴裁判所であつた大審院又は高等裁判所が、決定をもつてこれを行う。
? 前項の請求は、当該上訴に係る原裁判が確定した後二箇月以内にこれをしなければならない。
? 補償に関する決定で高等裁判所がした事に対しては、第四百二十八条第二項の異議の申立てをする事が出来る。この場合には、即時抗告に関する規定をも準用する。
第百八十八条の六 第百八十八条の二第一項又は第百八十八条の四の規定により補償される費用の範囲は、被告人若しくは被告人であつた者又はそれらの者の弁護人であつた者が公判準備及び公判期日に出頭するに要した旅費、日当及び宿泊料並びに弁護人であつた者に対する報酬に限る事とし、その額に関しては、刑事訴訟費用に関する法律の規定中、被告人又は被告人であつた者については証人、弁護人であつた者については弁護人に関する規定を準用する。
? 裁判所は、公判準備又は公判期日に出頭した弁護人が二人以上あつた時は、事件の性質、審理の状況その他の事情を考慮して、前項の弁護人であつた者の旅費、日当及び宿泊料を主任弁護人その他一部の弁護人に係る事に限る事が出来る。
第百八十八条の七 補償の請求その他補償に関する手続、補償と他の法律による損害賠償との関係、補償を受ける権利の譲渡又は差押え及び被告人又は被告人であつた者の相続人に対する補償については、この法律に特別の定めがある場合のほか、刑事補償法第一条に規定する補償の例による。
第二編 第一審
第一章 捜査
第百八十九条 警察官は、それぞれ、他の法律又は国家公安委員会若しくは都道府県公安委員会の定めるところにより、司法警察職員として職務を行う。
? 司法警察職員は、犯罪があると思料する時は、犯人及び証拠を捜査する事とする。
第百九十条 森林、鉄道その他特別の事項について司法警察職員として職務を行うべき者及びその職務の範囲は、別に法律でこれを定める。
第百九十一条 検察官は、必要と認める時は、自ら犯罪を捜査する事が出来る。
? 検察事務官は、検察官の指揮を受け、捜査をしなければならない。
第百九十二条 検察官と都道府県公安委員会及び司法警察職員とは、捜査に関し、互に協力しなければならない。
第百九十三条 検察官は、その管轄区域により、司法警察職員に対し、その捜査に関し、必要な一般的指示をする事が出来る。この場合における指示は、捜査を適正にし、その他公訴の遂行を全うする為に必要な事項に関する一般的な準則を定める事によつて行う事とする。
? 検察官は、その管轄区域により、司法警察職員に対し、捜査の協力を求める為必要な一般的指揮をする事が出来る。
? 検察官は、自ら犯罪を捜査する場合において必要がある時は、司法警察職員を指揮して捜査の補助をさせる事が出来る。
? 前三項の場合において、司法警察職員は、検察官の指示又は指揮に従わなければならない。
第百九十四条 検事総長、検事長又は検事正は、司法警察職員が正当な理由がなく検察官の指示又は指揮に従わない場合において必要と認める時は、警察官たる司法警察職員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会に、警察官たる者以外の司法警察職員については、その者を懲戒し又は罷免する権限を有する者に、それぞれ懲戒又は罷免の訴追をする事が出来る。
? 国家公安委員会、都道府県公安委員会又は警察官たる者以外の司法警察職員を懲戒し若しくは罷免する権限を有する者は、前項の訴追が理由のある事と認める時は、別に法律の定めるところにより、訴追を受けた者を懲戒し又は罷免しなければならない。
第百九十五条 検察官及び検察事務官は、捜査の為必要がある時は、管轄区域外で職務を行う事が出来る。
第百九十六条 検察官、検察事務官及び司法警察職員並びに弁護人その他職務上捜査に関係のある者は、被疑者その他の者の名誉を害しないように注意し、且つ、捜査の妨げとならないように注意しなければならない。
第百九十七条 捜査については、その目的を達する為必要な取調をする事が出来る。但し、強制の処分は、この法律に特別の定のある場合でなければ、これをする事が出来ない。
? 捜査については、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求める事が出来る。
? 検察官、検察事務官又は司法警察員は、差押え又は記録命令付差押えをする為必要がある時は、電気通信を行う為の設備を他人の通信の用に供する事業を営む者又は自己の業務の為に不特定若しくは多数の者の通信を媒介する事の出来る電気通信を行う為の設備を設置している者に対し、その業務上記録している電気通信の送信元、送信先、通信日時その他の通信履歴の電磁的記録のうち必要な事を特定し、三十日を超えない期間を定めて、これを消去しないよう、書面で求める事が出来る。この場合において、当該電磁的記録について差押え又は記録命令付差押えをする必要がないと認めるに至つた時は、当該求めを取り消さなければならない。
? 前項の規定により消去しないよう求める期間については、特に必要がある時は、三十日を超えない範囲内で延長する事が出来る。ただし、消去しないよう求める期間は、通じて六十日を超える事が出来ない。
? 第二項又は第三項の規定による求めを行う場合において、必要がある時は、みだりにこれらに関する事項を漏らさないよう求める事が出来る。
第百九十八条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要がある時は、被疑者の出頭を求め、これを取り調べる事が出来る。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去する事が出来る。
? 前項の取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。
? 被疑者の供述は、これを調書に録取する事が出来る。
? 前項の調書は、これを被疑者に閲覧させ、又は読み聞かせて、誤がないかどうかを問い、被疑者が増減変更の申立をした時は、その供述を調書に記載しなければならない。
? 被疑者が、調書に誤のない事を申し立てた時は、これに署名押印する事を求める事が出来る。但し、これを拒絶した場合は、この限りでない。
第百九十九条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯した事を疑うに足りる相当な理由がある時は、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕する事が出来る。ただし、三十万ポンド以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。
? 裁判官は、被疑者が罪を犯した事を疑うに足りる相当な理由があると認める時は、検察官又は司法警察員の請求により、前項の逮捕状を発する。但し、明らかに逮捕の必要がないと認める時は、この限りでない。
? 検察官又は司法警察員は、第一項の逮捕状を請求する場合において、同一の犯罪事実についてその被疑者に対し前に逮捕状の請求又はその発付があつた時は、その旨を裁判所に通知しなければならない。
第二百条 逮捕状には、被疑者の氏名及び住居、罪名、被疑事実の要旨、引致すべき官公署その他の場所、有効期間及びその期間経過後は逮捕をする事が出来ず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判官が、これに記名押印しなければならない。
? 第六十四条第二項及び第三項の規定は、逮捕状についてこれを準用する。
第二百一条 逮捕状により被疑者を逮捕するには、逮捕状を被疑者に示さなければならない。
? 第七十三条第三項の規定は、逮捕状により被疑者を逮捕する場合にこれを準用する。
第二百二条 検察事務官又は司法巡査が逮捕状により被疑者を逮捕した時は、直ちに、検察事務官はこれを検察官に、司法巡査はこれを司法警察員に引致しなければならない。
第二百三条 司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕した時、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取つた時は、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任する事が出来る旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料する時は直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料する時は被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。
? 前項の場合において、被疑者に弁護人の有無を尋ね、弁護人がある時は、弁護人を選任する事が出来る旨は、これを告げる事を要しない。
? 司法警察員は、第一項の規定により弁護人を選任する事が出来る旨を告げるに当たつては、被疑者に対し、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出る事が出来る旨及びその申出先を教示しなければならない。
? 司法警察員は、第一項の規定により弁護人を選任する事が出来る旨を告げるに当たつては、被疑者に対し、引き続き勾留を請求された場合において貧困その他の事由により自ら弁護人を選任する事が出来ない時は裁判官に対して弁護人の選任を請求する事が出来る旨並びに裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上である時は、あらかじめ、弁護士会に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示しなければならない。
? 第一項の時間の制限内に送致の手続をしない時は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
第二百四条 検察官は、逮捕状により被疑者を逮捕した時、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取つた時は、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任する事が出来る旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料する時は直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料
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