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エチオピア正教
国・地域エチオピア帝国
信者数3,600万人
成立年紀元前1,000年(恩恵歴0年)
信仰対象唯一神እግዚአብሔር(イギジアビヘリ)・エチオピア皇帝
聖典ቅዱሳት መጻሕፍት(クィドゥサティメツァミフィティ)
母体ユダヤ教、エチオピア民間信仰
宗派・正統派
・保守派
・統合派
・改革派など
聖地ダブラ・マケダ
教義戒律の遵守

概要

 エチオピア正教はエチオピア帝国を中心に広がっている宗教である。ユダヤ教の派生宗教であるが、キリスト教やイスラーム教など、さまざまな宗教の影響を受けているためユダヤ教とは大きく異なっている。
 『クィドゥサティメツァミフィティ』(アムハラ語表記 : ቅዱሳት መጻሕፍት)、『ティザゾティ』(アムハラ語表記 : ትእዛዞች)と呼ばれる書を聖典とする。これはユダヤ教の『タナハ』に相当する書であるが、成立状況が異なるためユダヤ教とは内容が大きく異なる。ユダヤ教が信仰の前提となる行為・行動を重要視したのとは対照的に、エチオピア正教は信仰を重要視している。普遍的に通じる道徳的規範が大半であるが、儀式的あるいはエチオピア土着の普遍的に通じないものもある。エチオピア正教において信仰とは単に信仰することのみならずそれを実践することであるため、信仰に反する行いがあると厳しく糾弾されることもある。
 エチオピア正教では以前の状態やその洗礼の有無に関わらず信仰し実践するものは「天の聖なるもの」に近づけると説く。即ち、出自や血縁、洗礼していることよりもその行動や神への信仰を問われる。
 非エチオピア正教徒でも神を信仰し善行を積めば救われるとされる。反対に、エチオピア正教徒でも神を貶め悪行を行えば神からの裁きが降るとされる。
 エチオピア正教において皇帝は神の代理人であり神に代わって地上を支配しているため、これを汚すことや皇帝の名において制定された法律を破ることはひどく忌み嫌われる。

教義・信仰

 エチオピア正教徒は常に聖書を学び救済に向けて努力する。神は神聖にして決して犯してはならないものである。同時に神は絶対であるがその存在や行為は絶対であるがゆえに不可解であり、その解明こそエチオピア正教徒の行うことであるとされている。

メシア思想

 メシア(救世主)が到来し人々を救うというユダヤ教の預言を受け継いでいる。ただし、エチオピア正教ではこの場合の人々はユダヤ教徒に限らずあらゆる人々のことを指す。
 この預言ではメシアはダビデ王の子孫とされた。エチオピア正教ではこのメシアをダビデ王の孫にあたるメネリク1世だと位置づけ、そのメシアとしての責務と地位は代々メネリク1世の子孫が受け継いでいるとされている。預言によるとダビデ王の子孫であるメシアは地上にメシア的王国を築くとされており、すなわちメネリク1世によって築かれたエチオピア帝国こそがメシア的王国であるとされている。それは神の栄光をすべての人々に目に見える形で顕す王国であり、あらゆる人々が幸福に生きる権利がある王国である。

教育

 エチオピア正教が最も力を入れる分野は教育である。エチオピア正教では教育は剣よりも強力に身を守る手段であり、神に定められし試練であるとされている。生まれの不平等は家柄や血筋よりも行為を重要視するエチオピア正教において矛盾を抱える点であり、これを是正し神に真に帰依するために勉強を行う必要があるとされる。また、メシア的王国では教育によって生まれの不平等が是正される必要があるため、エチオピア帝国はそのような国家構造になる必要がある。エチオピア正教では強力な兵隊を作ることよりも教育によって良質な人材を育成することが国家を守るものだとしているため、その共同体では人々のほとんどが文盲であった紀元前から無料の公的教育機関が存在していた。平均的なエチオピア正教徒は非常に教育熱心で所得水準も高い。

労働

 エチオピア正教で労働は神の行なったものであると同時に、共にメシア的王国を構成する最も重要なものの一つである。そのため人々は労働を行うことを神聖視し、使用者が労働者に対して不当な扱いをすることはタブー視されている。また、労働を行うことは資金稼ぎのためではなくメシア的王国を構成するための奉仕活動なのでそれを行うこと自体が貴重で重要な行いであるとされている。

死生観

 エチオピア正教では人間は神の代わりに地上の生きとし生けるものを救済するため、そして神の代わりに労働をするために作られたとされている。そのため労働によって得られた神に収めるべきだとされており、現代ではそれが税金であるとされている。
 死後にはシェオールやハデスと言った世界があるとされており、ここで神の裁きが下されるとされている。善人は神の保護を受け、悪人は永久に滅ぼされる。
 魂は神という大きな流れの中から分たれた一つの雫のようなものであり、人生を通じて再び神の内に戻る。清流に魚が棲まず、養分を多く含んだ濁流こそ多くの恵みをもたらすように、神という大きな流れを構成する際に人生という養分を含むことで魂の集合体である神はより偉大な存在となりその威光を増す。神を構成する一つであるのだから、その人生において悪行があってはならない。

悪行

 エチオピア正教において悪行とは神を冒涜することや戒律を意図して破ることのほかに、悪意を持って他者を騙したり他者を害したりすることである。
 悪行はそれ相応の懺悔とその行いの3倍の善行によって神によって浄化される。懺悔は地上の管理人であるエチオピア正教会あるいは神の代理人であるエチオピア皇帝とその一族にする必要がある。

 エチオピア正教において性衝動や性行為は神から授けられた人間の二つの特性(神性と獣性)のうち、獣性に属する重要なものであるとされている。人間は神の代わりに神の裁きの日まで労働を行わなければならないため、神が地上を裁く日まで人間を存続させなければならない。そのための性衝動と性行為である。神によって設計された重要な特性なので性行為は神聖視され、その相手は問われない。

第一律法と第二律法

 エチオピア正教にはユダヤ教と同じく二つの律法がある。
 第一律法はモーセによる神との契約によってもたらされた律法である。第一律法は「あなたの神(イギジアビヘリ)を愛しなさい」から始まり、様々なことに応用される。イギジアビヘリは人間をイギジアビヘリの霊の似姿に寄せて創ったので、イギジアビヘリを愛する人間は同時に人間も愛さなければならない。イギジアビヘリは人間を創る際に寿命を設けなかった。そのため、現代でも神に愛された人間は殊更に長寿である。しかし人間は過ちを犯し楽園を追放された。その際、イギジアビヘリは人間に寿命を設け、その罰とした。そしてイギジアビヘリは人間にイギジアビヘリの代わりの労働を使命として課した。イギジアビヘリは人間が神による裁きの日まで存続できるように性別を与え、人間を二つに分けた。しかし人間はその数を維持しつつも増えなかったため、イギジアビヘリは人間の獣性に性衝動を与えた。元々人間は一つであるため、結婚し一つになろうとする男女を分けてはならない。また、結婚した男女はイギジアビヘリの似姿であるためこれを分つこともならない。そしてそのため、結婚した後はその他の人間と性交渉をしてはならない。全てのものはイギジアビヘリのものであるため盗んではならない。人間はイギジアビヘリの似姿であるためこれを害してはならない。イギジアビヘリによって全てのものが創造されたため、あらゆるものをイギジアビヘリのため以外に使ってはならない。イギジアビヘリは人間に労働させるという使命を与えたため労働をしなくてはならない。イギジアビヘリは常に聖でありその奔流は止まることなく流れ続けるため、人間も常に聖でありその知恵を止めてはならない。
 第二律法はメネリク1世がエチオピアに契約の箱を持ち出した際に神と結んだ新たな契約をもとにしている。イギジアビヘリは人間の心全てを見通しているため、割礼を求めない。イギジアビヘリは人間から悪を断つことをお望みなので断食を求める。アルコールやタバコは知恵を汚し魂を濁すため摂取してはならない。イギジアビヘリは人間の心をご存知なので心全てを尽くしてイギジアビヘリに捧げなければならない。イギジアビヘリは天に住んでおり、地上はイギジアビヘリの代理人としてのメネリク1世の一族のためのものであるため、神殿は全て代理人の一族のためになければならない。イギジアビヘリは地上を治めるものとしてメネリク1世とその一族を代理人としたため、人々はこれに従わなければならない。人々は地上における神であるメネリク1世とその一族を信奉しなければならない。

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